2024年7月25日
2021年、地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画である「地球温暖化対策計画」が改定されました。
わが国では、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、まずは中期目標である2030年度において、温室効果ガスの排出を2013年度から46%削減することが盛り込まれましたが、計画を策定するだけでなく、確実に実行に移していくことが求められます。
本県の東京湾臨海部には、千葉市から富津市にかけて、素材やエネルギー産業が集積する日本最大規模の京葉臨海コンビナートがあります。この地域は、県全体の製造品出荷額の約5割を占めるなど、本県経済の重要な地域である一方で、コンビナートを抱える6市のCO2排出量は、県全体の46.6%を占め、その多くはコンビナートからの排出量であると推察されます。
そうした中、千葉県資源エネルギー問題懇話会等で視察に伺った京葉臨海コンビナートの企業では、燃焼してもCO2が発生しないアンモニア燃料との混焼や、石油由来ではない航空燃料(SAF)への転換、廃プラを原油に返還するケミカルリサイクルなど、脱炭素に向けた試みが進められていました。
県では、国際競争力を堅持しつつ、日本をリードするカーボンニュートラルコンビナートへの転換と業種を超えた企業間連携を推進するため、京葉臨海コンビナートカーボンニュートラル協議会を設立しました。水素やアンモニア等の脱炭素エネルギー化やサプライチェーンの構築など、今後の取り組みが注目されます。
京葉臨海コンビナートのカーボンニュートラルの実現に向けて、県はどのように取り組むのか?
京葉臨海コンビナートのカーボンニュートラルを実現するためには、・石油・石炭などの化石燃料から、脱炭素エネルギーである水素・アンモニアへの転換を進めていくこと・廃棄物やバイオマスなどを、原材料として活用する炭素循環の取組を進めることなどにより、CO2の発生を低減させていくことが必要です。
このうち、脱炭素エネルギーの取組については、将来的な水素・アンモニアの需要推計を踏まえつつ、望ましい供給拠点や供給網のあり方について、国の資金の獲得も念頭に置きながら、立地企業とともに検討を深めているところです。
また、炭素循環の取組については、企業の技術革新の動向を踏まえつつ、廃プラスチックを中心とした廃棄物や木質バイオマス、事業所から排出されるCO2をどのように回収し、活用することができるかについて、立地企業以外の企業との意見交換も交えながら、引き続き、議論を進めてまいります。
【参考資料】
市原市 鈴木 和宏