2024年6月29日
ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化などを背景に、依然として物価の高騰が続いています。この長引く物価高騰から県民の暮らしを守るためには、持続的な賃上げとともに、物価上昇を上回る所得増を実現し、苦しむ家計を支えなければなりません。
デフレからの完全な脱却に向けて、手取りの収入を増やすことで消費拡大を促し、確実に経済の好循環へとつなげていく事が急務とされており、その対策の一つとして、今月から定額減税がスタートしました。
そして、もう一つ必要なのが中小企業への支援であり、雇用の約7割を占める中小企業の持続的な賃上げを後押しする環境の整備が求められます。人手不足への対応力を強化するため、業務の効率化や人材育成など、生産性の向上を、一層進めていかなければなりません。
県の取り組みを伺いました。
(写真)公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2023」より
厳しい経済環境が続く中、中小企業の生産性向上に向けて、どのように取り組んでいくのか?
本県経済は、緩やかな回復が続いているものの、本格的な景気回復までには至っていない中、中小企業においては、引き続く物価高騰や人手不足などの課題に直面をしております。
こうした中でも、地域経済を持続的に発展させていくためには、個々の中小企業の生産性を高めていく必要があります。
このため、県では、中小企業のDXによる省力化や業務効率化に資する設備投資への助成や、経営改善に向けた相談対応、専門家派遣などの伴走支援の強化、リスキリングによる従業員のスキルアップの促進など、様々な支援により生産性向上に向けた取組を後押ししているところです。
今後、関係団体と連携して、県の取組をプッシュ型で中小企業に周知していくこと等により、地域経済の活性化を図ってまいります。
ちば中小企業生産性向上・設備投資補助金について
県では、景気回復を確かなものとし、さらに経済の好循環を促すための重点的な支援として、DXによる省力化や業務効率化、新規事業展開や新商品の開発など、中小企業等における生産性の向上をはかるために必要な設備投資に対して「ちば中小企業生産性向上・設備投資補助金」による助成を行っており、非常に好評であると伺っています。
補助金申請時には事業計画書が提出されますが、様々な業種から寄せられた生産性向上に関する好事例を、県内企業に共有し、全体の底上げをはかるべきではないでしょうか。
そこで、ちば中小企業生産性向上・設備投資補助金の活用策について伺いました。
ちば中小企業生産性向上・設備投資補助金の活用事例はどうか?また、県は他の中小企業の参考となるよう、その事例をどのように周知していくのか?
活用事例といたしましては、金属加工業において、専門的な技術者の不足により、品質管理の検査に多くの時間を要していた企業が、新たに工程を自動化できるシステムを導入いたしまして、少人数・短時間での検査を可能としていきたいというような事例ですとか、運送業において、同じく、デジタル技術を活用した新たな管理システムを導入いたしまして、車両管理や勤務管理、あるいは荷主への請求書作成などの業務を効率化していきたいというような事例がございます。
こうした活用事例につきましては、今後、生産性向上を目指す他の企業の参考になりますように、県ホームページやメールマガジンの配信等を行って情報発信を行っていくほか、関係団体とも連携いたしまして、周知を図ってまいりたいと考えております。
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物価高を乗り越え、賃金と物価の好循環を着実なものとするためには、生産性を向上させ、持続的な経済成長を実現することが欠かせません。
意欲ある中小企業を支援するため、生産性向上の取り組みの好事例を周知するとともに、必要に応じて補助金の増額を行い、後押しをしていただくよう要望しました。
【参考資料】
市原市 鈴木 和宏