2023年10月25日
近年、モビリティサービスの活用により、都市や地方が抱える交通サービスの課題解決をめざすものとして、Mobility as a Service の頭文字をとったMaaSというサービスがあります。その中でも、医療とモビリティ、さらにはICTを組み合わせることで、患者が検診や診療、保健指導などのサービスを受けられる医療MaaSという取り組みが行われています。
山間部や過疎地域などの医師不足や、通院困難な高齢者への対応のため、医療機器を搭載した車両に、運転手と看護師が同乗して、地域の集会所や自宅付近などへ出向きます。そして、病院にいる医師が、テレビ会議システムを使用して、オンライン診療を行います。
病院に行くことが難しい患者が治療を継続できることで、慢性疾患等の重症化を予防し、長期的な医療費の支出や介護負担の減少が期待されます。
一方、医師にとっては、訪問診療時の移動時間の削減により、より多くの患者を診察することができるため、医師不足や医師の偏在といった課題解決にもつながります。
本県では、今後さらに高齢者人口が増えることに加え、高齢者の一人暮らし世帯や高齢者夫婦のみの世帯が増えると推計されています。
長野県や三重県、高知県では、医療MaaSの実証実験を通しながら、その普及が進められていますが、本県においても同様の取り組みを行い、更なる高齢化の進展に備えるために、知見を広げておくべきと考え、自動車を活用したオンライン診療のモデル事業を提案しました。
医療過疎地域や公共交通機関が不便な地域を対象に、自動車を活用したオンライン診療導入のためのモデル事業を進めるべきと思うがどうか?
自動車を活用したオンライン診療は、医療機器等を搭載した車両が患者の自宅まで出向き、車内に設置したモニターを通してオンライン診療を実施するものであり、県外の複数の自治体において実施されていると承知しています。
また、デジタル機器に不慣れな高齢者等の医療の確保の観点から、医療機関のない地域等において、公民館等の身近な場所を活用したオンライン診療が特例的に可能となっていますが、国において地域の拡大について検討されているところです。
こうした取組により、通院に伴う患者負担の軽減等の効果も期待されており、県としては、国の検討状況等、必要な情報収集に努めてまいります。
【参考資料】
市原市 鈴木 和宏