2022年9月19日
千葉県観光立県推進議員連盟の県内視察で、酒々井町にある銘酒「甲子正宗」 の醸造元である飯沼本家、富里市にある旧岩崎家末廣別邸・末廣農場へ行ってまいりました。
飯沼本家
江戸元禄年間創業の飯沼本家は、豊富な水源と閑静な森に囲まれた、酒造りに適した自然環境の中にあります。
敷地内には、古民家を活用した直売所「酒々井まがり家」を併設し、お酒や食品のほか、雑貨なども販売しています。さらに、2階はギャラリーとなっており、絵や写真などの企画展を開催しています。
また、飯沼本家の代々の当主家族が住み継いできた築300年の母屋をリノベーションし、日本酒「甲子正宗」と二十四節気料理を提供する日本酒料理店「きのえねomoya」として、生まれ変わりました。
社長のお話の中で、一番苦労されたのは、市街化調整区域の指定を外すことだったそうです。多額の費用と時間を費やしたともお話されており、乱開発を防ぐことと新たな活力を生み出すことのバランスの難しさを感じました。
場所を会議室に移して、専務からは飯沼本家の取り組みについて、説明をいただきました。日本国内における日本酒需要の低下に伴い、清酒製造業も厳しい経営を強いられているようです。この16年間、平均すると毎月、約2.9軒の清酒製造業者が廃業を余儀なくされていました。
そのような、状況を打開するため、飯沼本家では、○製造業から観光業へのシフト、○和モダンでコンセプト推し商品開発、○海外輸出強化・販路拡大に取り組んでおられました。
旧岩崎家末廣別邸・末廣農場
きのえねomoyaで昼食を済ませた後、まずは富里市役所へ伺い、これからの観光拠点となることが期待される旧岩崎家末廣別邸と末廣農場の概要説明を伺いました。
旧岩崎家末廣別邸とは、三菱の三代目社長であった岩崎久彌が社長を退任後、岩崎家の事業として農牧事業を始めることになりますが、久彌がその足掛かりとして末廣農場内に建てたのが末廣別邸となります。
戦前は、東京からこの別邸に、月に2~3度訪れては、鶏や家畜の世話をしていましたが、戦後GHQの占領政策により、東京の本邸を物納することになったため、末廣別邸へ転居し、終の棲家となります。
平成24年に三菱地所より富里市に寄付され、翌年には国の登録有形文化財に指定されました。今後は修理を行い、隣接する観光・交流拠点である「末廣農場」とともに、観光資源として活用されることが期待されます。
市原市 鈴木 和宏