2021年3月11日
NPO法人「千葉盲ろう者友の会」の方に、お話を伺う機会がありました。
盲ろう者とは、目と耳の両方に障がいがある人のことで、その見え方や聞こえ方により、四つのタイプがあるそうです。全く見ることも聞くこともできない「全盲ろう」や、全く見えないが少し聞こえる「全盲難聴」、少し見えるが全く聞こえない「弱視ろう」、少しずつ見聞きできる「弱視難聴」です。また、同じ弱視難聴の中には、目は光しか見えず、耳は補聴器をつけても人の会話を聞き取れない方もいるそうです。
盲ろう者の方が外出する際には、通訳・介助者と出かけますが、その際は、触手話や指点字、耳元での会話などでコミュニケーションを取る必要があるため、コロナ禍における盲ろう者への通訳・介助は、しっかりとした感染予防対策が必要になります。
また近年、自然災害が頻発化かつ激甚化している中で、いざ災害が発生した際には、盲ろう者の方に対して、どのように支援の手を差し延べていくことができるのか、ということを危惧されておりました。 災害時要配慮者の中でも、とくにコミュニケーションが取りづらい、盲ろう者の方への支援体制づくりに課題があると考え、災害時における盲ろう者への支援体制について質問しました。
コロナ禍における盲ろう者への支援は、どのようにしているのか?
視覚と聴覚の両方に障害のある盲ろう者への支援には、密接や接触が欠かせないため、県では、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣や生活訓練等の事業を実施するに当たって、支援者及び盲ろう者の手指消毒や、マスクの着用、換気の実施など、できる限りの感染防止対策を徹底するよう指導しているところです。
また、盲ろう者は御自身での情報の入手が困難であるため、NPO法人千葉盲ろう者友の会を通じて、感染症に関する情報を盲ろう者の方々に提供しているところです。
今後とも、盲ろう者が安心して暮らすことができるよう、適切な支援に努めてまいります。
災害発生時にはどのように支援を行うのか?
盲ろう者は、自力での避難や、御自身での必要な情報の入手が困難なため、災害発生時には行政の各部門や関係機関が連携し、一人一人に合った支援を行うことが重要です。
そのため県では、「要支援者の避難のための手引」などを活用しながら、安否確認や避難誘導などの体制整備を行うよう市町村に働きかけるとともに、特に盲ろう者は、「指点字」や「触手話」など人により情報伝達手段が異なることから、ニーズに合った支援を行うよう示しているところです。
また、避難所においては、千葉県災害福祉支援チーム・DWATが被災された盲ろう者の心身状態の把握や相談対応を行い、必要に応じ福祉避難所へ誘導するなどの支援を行ってまい ります。
◇
国の調査によると、千葉県内の盲ろう者の数は約300名といわれていますが、千葉県盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業に登録されている盲ろう者の方は、わずか40名程度です。盲ろう者が地域での自立を目指すための生活訓練事業などが行われていますが、事業を利用している盲ろう者の方はまだまだ少なく、施策の存在さえも知らずに、自宅や施設において、情報やコミュニケーションのない状態で過ごされているのではないでしょうか。
神奈川県や大分県では、視覚と聴覚の両方の障がい者手帳を所持している方を中心に、市町村の協力のもと、盲ろう者の実態調査を行ったとのことです。本県においても、盲ろう者の把握に向けて取り組むよう、要望しました。
また、昨年の代表質問でも設置を要望し、検討を進めていくとご答弁いただいた盲ろう者支援センターですが、センターができることにより、医療機関や教育機関、市町村など、多方面から相談を受けることができ、盲ろう者の方につながりやすくなります。盲ろう者支援センターの早期設置についても、重ねて要望いたしました。
【参考資料】
千葉県盲ろう者向け通訳・介助員養成研修会
市原市 鈴木 和宏